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and・cafe

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第11回感想

砂の器 第11回(最終回) 感想

10話から続く、ピアノ協奏曲とともに暴かれていく和賀の過去。
三木謙一を殺すまでのいきさつですね。

たいへんな過去を生き抜いた本浦秀夫。
しんどい人生だよなぁ~。

~~ラ・ロシュフコーの言葉~~
ほとんどすべての人が小さな恩義に喜んで恩返しをする。多くの人が中ぐらいの恩義を恩に着る。
しかし大きな恩義に対して恩知らずでない人はほとんど一人もいない。

つまり、小さな恩。ハンカチを貸してくれたり、忘れていたボールペンを貸してもらったら、ほとんどすべての人は
「有り難うございました」という。笑顔も見せながら。
中ぐらいの恩。道で転げたりしたのを助けてくれたり、月末まで1万円貸してくれたり、財布を拾ってくれた人とかには
感謝の心と言葉でお礼もすることが出来るだろう。
でも、命を助けてくれたり、破産寸前なのを一家ごと助けてくれたりすると違ってくる。
大きな大きな恩義を受けると最初は感謝してても、やがてそれが重みになっていく。
上下関係が出来てくるから。助けたものと助けられたもの。この奴隷のようなカンケイは一生続く。
助けたもの前では、助けられたものはいつまでも感謝の気持ちをださなければならず窮屈な関係になるんだよ。

三木と和賀の関係もそんなものだったのかもしれない。
一話での三木謙一の上から物を言うような言い方は「助けたもの」だけが言える「大きなおせっかい」だったのだろう。

「とうちゃん、入院するから・・・。体直して向かえにくるから待っててくれ!」
秀夫は賢い子ですから、その意味をわかっております。
とうちゃんともう逢えなくなるかもしれないということも・・・・。
駅まで走る、走る。

遅い蒸気機関車でよかった。新幹線なら最後の別れはなかろう。
それにしても遅すぎる蒸気機関車と担任の先生の足。

最後の別れ。
蒸気機関車は早く乗れ!!と汽笛を長く鳴らします。う・・・うるさい!!うるさい!出発するときも汽笛。う・・・うるさぁ~~~い!!
とうちゃん~~~~と叫ぶ秀夫はほんと可哀相、可哀相だわ。涙そそるシーンだわよね。泣かなかったけど。
いかにもお涙頂戴シーンでは泣けんなぁ。可哀相だとは思ったけどさぁ。
この子役、演技うまし。ただし、中居には似てない。

村八分、それによる母の死、父親の狂気、過酷な逃亡の旅、そして亀嵩のいじめ。
6歳までにこれだけの事を経験したわけだから頭も賢くなるわ。必然的に。
亀嵩にいても未来がない!と6歳の子が悟るというのもすごいな。
確かに亀嵩にいても・・明るい未来はないかもしれないけど、優しい三木夫妻がいたのにねぇ。
私なら・・・甘えて生きていきます。三木秀夫として(笑)
しんどいことイヤだモ~~~ン。一人で放浪なんて絶対無理だモ~~ン。

放浪の末、長崎にたどり着いた秀夫君は・・・
水害のどさくさにまぎれて「和賀英良」というかっちょいい名前をいただきま~~す!しました。
しっかし、秀夫は亡くなった和賀君の遺体はどこに隠したのでしょ。怖いわぁ~~。

映画では号泣した、和賀の写真を千代吉に見せるシーン。
まったく感動はなかったです。ドラマの千代吉は30人も殺してるだもん。
映画ではなんで感動したかというと、親子に共通に与えられた宿命を断ち切るために息子を知らないといった父親。
知らない!ということで、せめて息子の宿命を断ちきってやりたかった親の想いに泣けた。

千代吉には断ち切ってやれるものないですから。
かわいそう~~な宿命は和賀一人が背負ったもの。
「アホな父親を持っってしまった宿命」   きついな・・・。

さてさて・・・。ここまでは振りですね。
砂の器は和賀ちゃん宿命コンサートが終わってからが素晴らしい演出でした。

宿命を弾き終わり立ち上がって客席に礼をする。
今西刑事達が来ているのに気付く。そのときの中居の顔が素晴らしくよいと思います。
何かから解放されたような、諦めたような。動揺もしていない、いい顔してるんだよ。
そして、もう一度客席に一礼をした後、ゆっくり今西刑事達に近づく和賀。後姿がかなしいね。

和賀ちゃんが警察の車に乗り込む直前、ハーハーしながらやってきました、あさみちゃん。ひっさしぶり~~。
二人が直接逢うのは7話以来。あはははははっ!!(笑)
その7話の時点でもあさみは「あんた何者?」って和賀ちゃんに言ってしまうぐらいの不思議の仲。
そんなよくわからない仲の二人ですが、黙って見つめあいます。
そして・・・和賀ちゃんはかすかにあさみに向かって微笑み、車に乗り込みます。

あの笑みは呪縛から解放された自分に対する笑みなのかもしれない・・・・・

警察の車は和賀ちゃんの後姿(肩から上だけど)を映しながら去っていきます。
日記にも書いたけど、ガラス一枚あるだけでより一層せつなく感じるのはなぜ?
強化ガラスの向こうに映る和賀ちゃんは・・・和賀ちゃんの後姿はさびしげで儚かったですわ。
さようなら~~わがちゃ~~~ん。多分コンサート会場内はあたふたしていると思うけど。
もう、どうでもいいいもんね。つかまっちゃったもんね。
田所親子はこれからが大変だ・・・。週刊誌とかさぁ~。代議士としての活動にも影響及ぼす事は間違いないでしょうな。
頑張って生きて下さい。和賀英良に逢った事が貴方達親子の宿命です(笑)
綾香ちゃんもこれに懲りずに新しい恋をして幸せになってほしいもんです・・・・。
あんねぇ・・・いまだから言うけど・・・和賀ちゃん浮気してたよ、あんたというものがおりながら(笑)

車の中で和賀ちゃんは目をつぶっております。
今西刑事の御慈悲により車は医療刑務所に向かっておるんです。でも和賀ちゃんはそのことを知らないようです←当たり前か。
雨なのがいい。この雨は作られたものなのか、実際のロケで雨が降っていたのかわからんが
雨が・・・いいんだよ。この場面で晴天はイヤだ。

和賀ちゃんはコンサートの時に隅に置いてたピアニカを大事に抱えて車に乗っております。
ピアニカは僕。僕はピアニカ。和賀ちゃんとピアニカは一心同体なのでどこに行くにも一緒だもん。
逮捕も一緒にされるんだもん~~ねぇ。
ピアニカ・・・。ピアニカには笑いがある。
和賀ちゃんのお膝にいたピアニカはチューブがくるくるときれいに巻かれており、おりこうさんでしたわ。

門のところで車は停車。やっと和賀ちゃんはゆっくりと目を開けます。
ここどこだ・・・警察か??な和賀ちゃんは門の所に書かれていた「医療刑務所」を見て超ーー驚きます。
「え~~~?!うそ~~ん」と和賀ちゃんは目をくりくりさせて大きなおめめで今西刑事をみます。
でも今西は和賀ちゃんを見ません。まっ、そこで目を合わせたら・・・いいシーンが台無しか。

「貴方の背中を追ってきた。貴方の背中はここに繋がっていた」
和賀ちゃんはとうちゃんに最初から宿命を聞かせるつもりだったんでしょうか・・・。ピアニカとともに車を降ります。

そして・・・とうちゃんとの対面。
ここで・・・11話の最後の2~3分で初めて・・・初めて和賀は自分の気持ちを言葉にした。
「憎かった」という言葉を。

憎かったのか・・・。でもそれだけじゃない!
憎いけれど、自分を抹殺したいぐらい憎かった父親だけど、憎みきる事は出来なかったのだろう。
父親だから・・・。いとおしく思う気持ちを捨てきる事も出来なかったんだろうな。
宿命という曲を作りながら、自分の奥に閉ざしていた気持ちに気が付いていった。徐々に。
その気持ちはなぜか憎んでいたはずの父親に対する切ない気持ちだった・・・・・ということなんでしょう。

「憎かった」という過去形なんだもん。

憎かった自分の気持ちにも宿命を作る事によってきっちりカタをつけた和賀。
最後に父親に逢って自分の気持ちを言えて本当によかった!と思います。暖かい手も握り合えた。

この対面の時の中居の演技はすごかったなぁ~~。簡単な言葉ではいえない。でも簡単に言う(笑)
11話までを演じながら自分の中で積み上がってきた気持ちをここですべて出してたように思えるんです。
11話のここまで主役を演じているものしかわからない気持ちというのかなぁ・・・
無言で苦悩している和賀をずーーーと演じながら中居の中に芽生えた感情を出していたように思えるのです。

和賀は宿命を書きながら徐々に父親への気持ちに気付いた。
中居は和賀を演じながら徐々に和賀の気持ちをものにした。

この対面場面。
私はすごく感動した。中居は和賀になっていた。和賀の気持ちを中居の中で消化出来てた!
そう思う。




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